
#0.スイス人が熱く語る時計
2024年7月30日
歌舞伎座「MINASE ショウケース」
2024年8月30日
#0.スイス人が熱く語る時計
2024年7月30日
歌舞伎座「MINASE ショウケース」
2024年8月30日#1.FIVE WINDOWSの庭園

比叡山の麓に瑠璃光院というお寺があります。歴史的に有名な場所ではありませんが、数寄屋作りの書院2階から眺める緑一面の青もみじで有名です。#瑠璃光院#青もみじで検索すると映像がたくさんあがっています。その瑠璃光院を訪れたとき、ミナセCEOの鈴木さんは「自分は、いま、ミナセの時計の中にいる。文字盤に映り込む自然を眺めている」と感じたそうです。もちろん自分だけの感覚です。そう前置きしながら、20年前FIVE WINDOWSというモデルを開発した当時のことを語ってくれました。

「FIVE WINDOWSは、ガラス窓がくり抜かれた立体的なケースの中にムーブメントと文字盤を包むインナーケースをもつ、ケースインケース構造の原点となったモデルです。当時はミナセのもつ高度な切削・研磨の技術を感じてもらえるモデルをつくりたい一心でした。しかし、誕生から20年経って思い返すと、ガラス窓で風景を切り取る雪見障子のような時計ケースがつくれたら面白いという話をデザイナーとしていたのです。」雪見障子は外の景色と光を室内に取り込む日本の建具。ガラスを覆うように上げ下げできる障子が組み込まれ、外の景色を額縁として切り取って愛でる日本の文化です。

時を刻むムーブメント、鏡面に磨き上げた文字盤、ガラス窓を通して文字盤に映り込む自然。FIVE WINDOWSの立体的な空間構造は、奇抜さを追いかけたわけではありませんでした。光や角度によって様々な表情を楽しめる時計をつくりたいと考えたら庭園の美しさにたどりついたというストーリーは日本人としてうなずける気がします。細部まですべて寸法通り正確に仕上げられているからこそ、空間の美しさが際立つのだと思うからです。
ファクトリーライターのK.カワカミ氏による、こだわり発見レポート「ミナセ探訪」。
時計業界を熟知した鋭い視点から、ミナセの価値に迫ります。
ライター:K.カワカミ
ファクトリー探検ライターとして、国内外のモノづくりを取材。時計、電気製品、靴、ファッション、建築、食品、菓子、伝統工藝など、こだわりの作り手のもとを訪れる。