漆シリーズ「虹の雲」を期間限定で予約を承ります
2024年9月10日水戸京成百貨店「MINASE」フェア 9/12~10/6
2024年9月12日漆シリーズ「虹の雲」を期間限定で予約を承ります
2024年9月10日水戸京成百貨店「MINASE」フェア 9/12~10/6
2024年9月12日#2.MADE IN YUZAWA
日本の手仕事には内陸の盆地で発展したものが数多くあります。周囲を山に囲まれた環境は地域固有の文化を育むのでしょう。中でも東北の盆地は、冬のあいだ、雪が積もるため農作業を行えず、家の中での内職が盛んになりました。雪掻きをしなければ外に出ることもままならない暮らしが、工藝品をコツコツと仕上げる根気強さや忍耐力を生んだのだと土地の人は言います。秋田県湯沢市の横手盆地もまた数多くの手仕事を生みだしてきました。ミナセの金属加工やザラツ研磨といった工程をそばで見ていると、美しさとは根気との闘いであるという熱気が伝わってきます。今回、MADE IN YUZAWAを誇りとするミナセが、同じ横手盆地で11世紀から継承されてきた伝統工藝の川連漆器とコラボレーションをするという話を聞き、攝津広紀さんの工房を見学させてもらいました。
時計の文字盤に川連螺鈿という加飾の技法を用いるそうです。漆は、お椀やお盆などの木地だけでなく金属の文字盤の上にも塗ることができるのです。攝津さんは、漆を塗った下地の上に、天然の貝のかけらを貼り合わせいきます。1片1片の貝が放つピンク色からグリーン色の光の方向を合わせることで幻想的な雰囲気をつくりだすという攝津さんの言葉の通り、通常のマザーオブパール文字盤とは違う複雑な光を放っています。モデル名は、雲全体が虹色に染まる彩雲をイメージして「虹の雲」と名付けたそうです。博物館に飾られている藝術作品は実際に触れることは不可能ですが、時計であれば腕につけて所有することができます。藝術と共に生活するとのは最高の贅沢です。
時計ケースを工藝品の領域まで高めたミナセの手仕事と、数百年の歴史を土台にした攝津広紀さんの手仕事、2つのMADE IN YUZAWAが「虹の雲」として見事に表現された神秘的な輝きをずっと眺めていたいという気持ちは世界共通ではないでしょうか。日本の手仕事の素晴らしさに、海外の人が驚いている姿を想像するだけでこちらも嬉しくなります。ちなみにMADE IN YUZAWAにはもう1つの伝統技があります。それは稲庭うどんです。約350年の歴史があると言われ、透明感のある艶、しこしことした食感、まっすぐ均一な太さ、どこをとっても一級品です。うどんの名品を本場で食べられることもミナセを訪れる楽しみの1つです。
ファクトリーライターのK.カワカミ氏による、こだわり発見レポート「ミナセ探訪」。
時計業界を熟知した鋭い視点から、ミナセの価値に迫ります。
ライター:K.カワカミ
ファクトリー探検ライターとして、国内外のモノづくりを取材。時計、電気製品、靴、ファッション、建築、食品、菓子、伝統工藝など、こだわりの作り手のもとを訪れる。