革ストラップのパターンオーダー「MS」をスタートしました
2024年10月23日大丸京都店 PRECIOUS WATCH FAIR 11/20~11/26
2024年11月18日革ストラップのパターンオーダー「MS」をスタートしました
2024年10月23日大丸京都店 PRECIOUS WATCH FAIR 11/20~11/26
2024年11月18日#5.日出る国のHORIZON
世界にはHORIZONが広がっています。グランドキャニオンの地平線、マゼランが旅立った西の彼方に向かう水平線、それぞれの国の風土や文化によってHORIZONという言葉から連想される景色は違います。そう考えるとミナセのHORIZONというモデルは、日出る国(日本)のHORIZONをイメージして創られたものです。海外の人に説明するとしたら、日本人のHORIZONは太陽が昇ってくる場所。絵葉書のような美しさというより神聖な光を連想させるものです。
ミナセCEOの鈴木さんにHORIZONモデルの原点について質問したことがあります。「HORIZON、FIVE WINDOWS、DIVIDOの3モデルには、もともとHIZというシリーズ名が付けられていました。HIZとは日出る国の時計という意味です。自分たちにしか創ることのできない造形とはどうあるべきか、研ぎ澄まされた輝きをどのように表現するか。それだけを考えて3つのモデルを開発したのです。その中でもHORIZONは、神聖な輝きが生みだされる水平線をイメージしたモデルです。」と教えてくれました。
実際、ミナセのHORIZONを手にしたときのいちばんのビューポイントは、スクエアケースの四隅まで目線を下げてガラスや文字盤を眺めたとき弧を描く造形の美しさです。そこには水平線から朝日が昇ってくるような世界が現れます。機械式時計に数多く触れてきた人であれば、時計の針を下から眺めるような位置までケースの四隅が薄く削られていることに驚くでしょう。また、ここまで落差のあるカーブを描く風防ガラスは見たことがないと思うはずです。鋭い観察眼を持っている人なら、神聖な輝きを生み出すために、わざわざケースとラグを別のパーツでつくり、光沢とサテン仕上げが細かく磨きわけられていることを見抜くかもしれません。
かつて20世紀のモダンデザインを率いたドイツの有名な建築家は「神が細部に宿る」という言葉を残しました。それは、日本人にとって斬新な思想ではなく、むしろ古来より受け継がれてきたものづくりの精神性と重なります。工藝品はもちろんのこと、田んぼの稲にも、畑の作物にも、丹精をこめてつくったものには神が宿るという考え方は、日本人に埋め込まれたDNAのようなものです。指先と心を一つにして無心になって磨き続けることで生まれる神聖な輝き。限られた本数しか生産できなくても輝きの深みを追いかけるミナセの真骨頂といえるモデルの1つがHORIZONなのです。
ファクトリーライターのK.カワカミ氏による、こだわり発見レポート「ミナセ探訪」。
時計業界を熟知した鋭い視点から、ミナセの価値に迫ります。
ライター:K.カワカミ
ファクトリー探検ライターとして、国内外のモノづくりを取材。時計、電気製品、靴、ファッション、建築、食品、菓子、伝統工藝など、こだわりの作り手のもとを訪れる。