時計・宝飾 SHIHO
時計・宝飾 SHIHO「ミナセ」フェア 6/6~6/30
2025年6月6日
URUGA Ice Blue Dial
URUGAにシリーズから ”アイスブルー文字盤” ”ラバーモデル”が誕生しました
2025年7月10日
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2025年7月10日

#10.山本デザイナーに聴く .2

2次元からの脱却

既成概念をどう覆すか?山本デザイナーには、構想の初期段階から水平線のイメージが頭の中にありました。通常であれば、薄さ0.4mmの板状の文字盤の上を針が周り、その上にガラスを被せるという構造が常識です。ドーム型の風防ガラスを使ったデザインは過去にも例があります。しかし、山本デザイナーは、MINASEの切削研磨技術をもってすれば、ケース構造そのものから斬新な形状を創ることができると確信していました。大量生産の規格品の限界である二次元の世界から脱却したところにMINASE独自のデザインを求めたのです。

サファイアガラスの四隅を極限まで湾曲させ、それよりも高い位置で針が周っている。HORIZONのコンセプトスケッチを見せられた皆瀬工場の技術者たちは、「面白いのはわかる。でも、どうやって創ればいい。」と真剣に悩んだことでしょう。巨大な時計企業であれば、即座に却下されたと思います。しかし、皆瀬工場の技術者たちは弱音を吐くことなく、自分たちの切削研磨をさらに進化させたのです。円形の溝にガラスを嵌め込むのであれば簡単にできることを、あえて難しいデザインを実現してみせることでMINASEの技術者の魂を世界に見せつけたと言えるかもしれません。

HORIZONをケースの四隅から眺めると地球のロマンを感じると言った人がいました。古代ギリシア以来、地球平面説と球面説の論争が続けられ、球面説を唱える学者たちは水平線上に浮かぶ船の下の方が見えなくなることを根拠にしていたというエピソードを思い出します。HORIZONは、まさしく山本デザイナーと皆瀬工場による異端の名作です。大量生産から脱却したモデルをなぜ創ろうと考えたのか。クリエイションとはなにか。感動とはどこから生まれるのか。それらの問いかけをHORIZONは教えてくれるような気がしています。

ファクトリーライターのK.カワカミ氏による、こだわり発見レポート「ミナセ探訪」。
時計業界を熟知した鋭い視点から、ミナセの価値に迫ります。

ライター:K.カワカミ
ファクトリー探検ライターとして、国内外のモノづくりを取材。時計、電気製品、靴、ファッション、建築、食品、菓子、伝統工藝など、こだわりの作り手のもとを訪れる。