シンプルな三針のモデルは、世界のあらゆるウォッチメーカーによって発表されています。
デザインの構成要素が限られているからこそ、ウォッチメーカーの思想や技術力が現れます。
正統なフォルムを継承するのか、革新を求めるのか、磨きにどこまでこだわるのか。
その意味で言うと、MINASEのマスタークラフト3番、M3は色気のある存在感を放っています。
平たく言えば、シンプルでありながら、少しもさりげなくない。
我ここにあり、という主張すら感じます。
今でも忘れられないのは、スイス人の時計フォトグラファーが、ファインダーを覗きながら「M3の時計ケースは、スイス人には創ることができない」と話していたことです。
彼らは、技術的な難しさではなく、着想や精神性に日本固有の美を感じていました。
日本と海外では、モノづくりの取り組み方も職人としての生き方も自然に対する考え方も異なります。それがシンプルな形の中に現れているのでしょう。
M3のケースをあらゆる角度から眺めて、最も美しいアングルを探しているフォトグラファーの言葉に感動しました。
機械式時計の文化は欧州で生まれたものです。
それが東アジアの小さな島国である日本に伝わり、心のこもった丁寧な手仕事を大切にする職人と出会い、欧州の人たちが見て「自分たちには創れない美しさ」という高みにまで達したのです。
M3のどこに日本の美しさがあふれているのか。
それを言葉にすることはスイス人の彼らにも難しいでしょうし、だからこそ尊いものに感じられます。
M3は2008年に発表され、その後2018年に復刻モデルとしてMINASEから発表され、雪平文字盤などの日本固有の美しさがさらに磨き抜かれています。
ファクトリーライターのK.カワカミ氏による、こだわり発見レポート「ミナセ探訪」。
時計業界を熟知した鋭い視点から、ミナセの価値に迫ります。
- ライター:K.カワカミ
ファクトリー探検ライターとして、国内外のモノづくりを取材。時計、電気製品、靴、ファッション、建築、食品、菓子、伝統工藝など、こだわりの作り手のもとを訪れる。






