絞漆
SHIBO-URUSHI
漆の表現を豊かにするのは蒔絵だけではありません。
「絞漆(しぼうるし)」は普段の塗りとは違う、奇妙でそれでいて美しい空間をそこに作り出します。
漆と卵の白身を混ぜた粘性のある材料を用います。作り出した凹凸は、一つとして同じもののない景色を盤面に描き出します。
絞漆は一つ一つ手作りのため、時計ごとに模様が若干異なります。
緋色の幻
絞漆を塗り重ね、赤部分をあえて一部だけを研ぎだしました。
ともすれば単調になりがちな塗りに流れと面白さをその強弱にとじこめています。
艶のある黒とゆらめく緋色の均衡は飽きのこない深みがあります。
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錫かすみ
絞漆部分に錫鈖を蒔くことで浮かび上がらせた錫のかすみ。
明確な形を持たない故に、見る者によってかすみの先に見える景色が変化する面白さがあります。
冬の山のようにも、風にさらわれる春霞にも見えます。
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こがねの揺らぎ
金色と漆は昔から伝統的な美しさを支えてきたものです。
絞漆で揺れながら広がる黄金(こがね)を表現しました。
この存在感は磨き上げられた珠玉のようでもあります。
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貝の宙
夜光貝の青い部分を選び黒の盤面にちりばめました。
その後上から絞漆を塗り、貝を研ぎだしてこの作品が完成します。
その研ぎ出し方によって表情が変わるのです。
青く輝く貝と漆黒の深みが夜空の向こうの宙(そら)を思わせます。
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