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#14.M2の壁。〜 孤高のクロノグラフ 〜

MASTER CRAFT M2

マスタークラフトのモノづくりは、断崖に咲く美しい花を摘みにいくような挑戦心にあふれています。誰も手にしたことがない時計ケースを創りたい。工具メーカーである協和精工が誇る高度な切削・研磨技術をたくさんの人に驚いてほしい。そんな真摯な思いがマスタークラフトの全モデルに込められています。
しかし、20年にわたるヒストリーの中で幻のマスタークラフトとも言うべきM2のことは今までほとんど語られてきませんでした。生産本数は機械式とクォーツを合わせてわずか5本。角型ケースを搭載したクロノグラフは、十数年前のIJT(国際宝飾展示会)でお披露目されました。

MASTER CRAFT M2

M 1と同じくケースも文字盤もすべてにMORE構造を採用。中でもケースはなんとM1の 1.5倍のパーツで構成されていたそうです。
時計の展示会ではなく宝飾の展示会で発表されたことからもわかるように、美しい輝きを演出するためのMINASE独自のガラス嵌め込み構造など、難度の高い研磨技術が凝縮された孤高のモデルでした。M 1が評価されたことでさらに高い壁に挑もうとした純粋な技術者魂だったのでしょう。

しかし、その挑戦はあまりにも難しすぎました。
1つのパーツを磨くだけで丸一日かかってしまったり、構造が複雑すぎて精度を追い込めなかったり、さすがの切削・研磨マスターたちも根を上げてしまったのです。まだMINASE自身も時計ブランドとして船出すべきか進路が見えていなかった時代の話です。
でも、技術者として能力の限界を出しきるというスピリットは、現在のMINASEの製造技術の礎となっています。「当時は実現不可能に近かったけれど、今のMINASEの切削・研磨技術ならつくれるかもしれない。」と鈴木社長は笑っていました。
できることなら、いつの日か幻のマスタークラフトM2をリバイバルしてほしいと思います。

MASTER CRAFT M2

ファクトリーライターのK.カワカミ氏による、こだわり発見レポート「ミナセ探訪」。
時計業界を熟知した鋭い視点から、ミナセの価値に迫ります。

ファクトリー探検ライターとして、国内外のモノづくりを取材。時計、電気製品、靴、ファッション、建築、食品、菓子、伝統工藝など、こだわりの作り手のもとを訪れる。